細胞生化学分野

我々の体の中では、タンパク質どうしが接着(架橋)する反応が起こっています。血液の凝固、皮膚の硬化、死細胞の処理などがありますが、はっきりとわかっているものはまだ少ないのが現状です。

タンパク質の接着は、トランスグルタミナーゼという名前の酵素によるものです。この酵素は普段は眠っていますが、一部が切断されたり、カルシウムイオンが結合したり、スイッチが入って初めて活性(働き)を持ちます。これを「活性制御機構」といい、細胞内でのそのしくみを解明しようとしています。

また、タンパク質なら何でも接着されるのではなく、特定の配列を持つものだけが酵素に好まれます。「どんな配列であれば好まれるのか」を調べ、本来の基質タンパク質よりも接着されやすいペプチド(12アミノ酸)を見つけてきました。

この「最小で高反応な基質ペプチド」を使い、接着されるタンパク質(基質)の探索、酵素活性の可視化、高感度な測定法の開発を行ってきました。

このような一連の研究教育を通じ、生化学、遺伝子工学や細胞生物学の実験技術を学びます。

知らないことを知る、わからないことをわかる、できなかったことができる、いずれも「研究」と関わる中で体験できることです。単に技術を覚えたり、知識を増やしたりするだけでなく、充実した毎日の中で研究に熱中することを体験してほしいです。どのくらい真剣に自分の「テーマ」にうちこんでやれるか、によって得られる感動も違います。私たちの研究室は、違うテーマでもみんなで力を合わせながら、将来どのような場でも力を発揮できる、研究(仕事)へのしっかりとした心構えと実践能力を養いたいと思っています。