創薬科学研究科主催 第71回創薬科学セミナー
本セミナーは、先端薬科学特論・単位認定セミナーです。
概要 | マウス脳腫瘍モデルと時空間的1細胞解析を用いた腫瘍悪性化の解明-がんの進化を標的とした創薬を目指して |
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日時 | 2017年10月18日水曜日・15:00-16:30 |
場所 | 創薬科学研究館 2階 講義室(205) |
講師 | 原 敏朗 博士(Salk Institute for Biological Studies) |
連絡先 | 小坂田文隆(fosakada@ps.nagoya-u.ac.jp) |
ファイル | 1506900724第71回創薬科学セミナー.pdf |
がん細胞では、ゲノムやエピゲノム上の傷が、細胞の性質を変化させることがあります。これらの損傷は、細胞内外の要因により日常的にランダムに起きることもありますし、放射線や一部の抗がん剤により誘起されることもありますが、時として、周囲の環境内(選択圧下)で他の細胞クローンよりも増殖能や浸潤能の高い細胞を生み出します。この″進化″可能な細胞の性質は、がん疾患に特有であり、また臨床では薬剤耐性や転移などに寄与する最も厄介な側面の一つです。我々は、このがん細胞の進化の過程に着目し、悪性化する前と後での細胞の性質の違いと、その悪性化を誘導するメカニズムを明らかにすることで、悪性度の高いがん細胞の抑制方法をデザイン出来るのではないかと考えています。具体的には、我々が作成した、再現性が良く、介入実験が簡単な、レンチウイルス誘導型の脳腫瘍マウスモデルを利用し、マウスの体の中で時間経過と共に悪性化するがん細胞一つ一つの動態や遺伝子発現変化を詳細に解析しています。この方法を利用することで、現在までに悪性化を誘導する遺伝子の同定に成功しました。本セミナーでは、がんの悪性化・不均一性・発がんモデルマウス・1細胞解析・細胞系譜追跡をキーワードに、最新の研究成果や技術を紹介します。