日時 | 2025年02月07日金曜日・15:30-17:00 |
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場所 | 創薬科学研究館2階講義室(205) |
講師 | ⽩川 久志 博⼠(京都⼤学 ⼤学院薬学研究科 ⽣体機能解析学分野/准教授) |
連絡先 | ⼩坂⽥⽂隆(x6814) |
ファイル | 1738563555第193回創薬科学セミナー白川久志先生.pdf |
超高齢社会のわが国では、2025年に認知症患者が約700万人に達し、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を抱えると推計されており、その対策が急務となっている。2024年、『The Lancet』に14項目の認知症リスク要因が提示され、その多くは生活習慣病やその関連症候であったが、その提言に基づく基礎研究は遅々と進んでいない。我々は、生活習慣病に付随して惹起される「慢性脳低灌流」に注目し、両側総頸動脈狭窄(BCAS)マウスモデルを使用して認知症研究を行ってきた。その結果、ROSに反応する温度感受性Ca2+透過性カチオンチャネルであるTRPM2がミクログリアの活性化に関与し、白質傷害および認知機能障害を引き起こすこと(J Neurosci, 2018; Biochem Biophys Res Commun, 2019)、アストロサイトに発現する別のROS/温度感受性TRPチャネルであるTRPA1が白血病阻止因子(LIF)を産生し、白質傷害および認知機能障害を抑制することを発見した(Sci Adv, 2023)。これらの知見は、TRPM2阻害やTRPA1刺激が認知機能障害の治療に寄与する可能性を示している。