9/5日(火)10:00から第174回創薬科学セミナー「薬理作用のトランスオミクス解析」(理研・柚木先生)を開催いたします。多数のご参加をお待ちしております。
なおこのセミナーは先端薬科学特論単位認定セミナーです。
概要 | 薬理作用のトランスオミクス解析 |
---|---|
日時 | 2023年09月05日火曜日・10:00-11:30 |
場所 | 創薬科学研究館2階講義室において対面にて実施 |
講師 | 柚木 克之(理化学研究所 生命医科学研究センター 統合細胞システム研究チーム/チームリーダー) |
連絡先 | 廣明秀一(hiroaki.hidekazu.j7@f.mail.nagoya-u.ac.jp/4535) |
ファイル | 169294901620230905poster2.pdf |
厚生労働省やアメリカ食品医薬品局に認可されている薬剤化合物の総数は
1000〜2000 種類にのぼるとされている。近年の承認審査では詳しい作用
機序の証明が要求されることもあり、新しい薬ほど標的やメカニズムが精密
に調べられている。しかし、作用機序解明が強く要請されなかった時代に承
認されたいわゆる昔の薬には、標的分子や作用機構が十分に解明されていな
いものが多数あると見積もられている[Gates et al. (2021) Nature]。そ
のような薬の一つに、2 型糖尿病薬メトホルミンがある。メトホルミンは中
世ヨーロッパで用いられていた薬草にルーツを持ち、現代では世界的に 2 型
糖尿病の第一選択薬として用いられている。その作用メカニズムは、肝臓に
おいては糖新生を抑制し、末梢組織では糖の消費を亢進することで血糖値を
下げるものと理解されている。しかし、当該臓器・組織における標的分子や
その下流で薬理作用を惹起する生化学ネットワークについては諸説が入り乱
れており未だに論争が続いている。我々は、代謝制御メカニズムをオミクス
ワイドな多階層ネットワークとして解明するトランスオミクス解析の方法論
をメトホルミンの作用機序解明に応用した。本セミナーでは標的タンパク質
の網羅的同定や、薬理作用を惹起する代謝制御ネットワークを多階層オミク
スデータから読み解く方法について最新のデータをもとに議論する。
1000〜2000 種類にのぼるとされている。近年の承認審査では詳しい作用
機序の証明が要求されることもあり、新しい薬ほど標的やメカニズムが精密
に調べられている。しかし、作用機序解明が強く要請されなかった時代に承
認されたいわゆる昔の薬には、標的分子や作用機構が十分に解明されていな
いものが多数あると見積もられている[Gates et al. (2021) Nature]。そ
のような薬の一つに、2 型糖尿病薬メトホルミンがある。メトホルミンは中
世ヨーロッパで用いられていた薬草にルーツを持ち、現代では世界的に 2 型
糖尿病の第一選択薬として用いられている。その作用メカニズムは、肝臓に
おいては糖新生を抑制し、末梢組織では糖の消費を亢進することで血糖値を
下げるものと理解されている。しかし、当該臓器・組織における標的分子や
その下流で薬理作用を惹起する生化学ネットワークについては諸説が入り乱
れており未だに論争が続いている。我々は、代謝制御メカニズムをオミクス
ワイドな多階層ネットワークとして解明するトランスオミクス解析の方法論
をメトホルミンの作用機序解明に応用した。本セミナーでは標的タンパク質
の網羅的同定や、薬理作用を惹起する代謝制御ネットワークを多階層オミク
スデータから読み解く方法について最新のデータをもとに議論する。