第112回創薬科学セミナー・GTRセミナー
本セミナーは、先端薬科学特論・単位認定セミナーとして認められています。
概要 | データサイエンスが拓く先進的創薬研究 |
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日時 | 2019年09月27日金曜日・11:00-12:00 |
場所 | 創薬科学研究館 2階 講義室 |
講師 | 安藤 達也 先生(武田薬品工業(株)/リサーチ・コンピューテーショナルバイオロジー・主席研究員・博士(工学)) |
連絡先 | 加藤竜司(kato-r@ps.nagoya-u.ac.jp) |
ファイル | 1568048235Souyaku_GTR_Seminar_112.pdf |
近年の創薬研究は膨大なデータと向き合うものになりつつある。大量のライフサイエンスのデータを融合しながら生命理解を進めることは極めて重要であるが、ライフサイエンスから得られるデータの複雑さ、オミクスデータ等のプラットホームの異なるデータ融合の難しさ、データサイエンスのスキルとマインドをもった人材の不足など、データサイエンスには可能性と共に課題も多く存在する。本講演では、製薬企業研究におけるデータサイエンスの可能性と期待について紹介する。
また研究としては、近年我々が研究を進めている細胞集団における不均質性についても紹介する。細胞集団間の不均質性はこれまで実験的に証明することが難しいことから、その現象の多くが無視され、生物学的に意味のあるばらつきというより技術的なノイズとして扱われてきたが、同じ遺伝的背景の細胞集団のばらつきとして考え、理解することができる技術が近年発展しつつある。ごく近年になって、細胞集団における表現型の不均質性がさまざまな生理学プロセスや病態生理学的な状態や治療に対する反応において観測可能になり、疾患治療開発に課題を投じている。例えば、がん治療薬に対する反応は不均質であり、再生医療の分野では細胞の不均質性のため分化・培養に時間がかかり、効果のない細胞や毒性を示す細胞が含まれてしまうという問題がある。これら細胞の不均質性のメカニズムを解明し、不均質性そのものを調節することで効果の高い治療が可能になることや、患者の要望に合わせ素早く安全な細胞を供給できるようになることが期待できるため、神経細胞やグリア細胞分化における転写ばらつき変化とその制御を体系的に解析するフレームワーク構築についても紹介したい。
また研究としては、近年我々が研究を進めている細胞集団における不均質性についても紹介する。細胞集団間の不均質性はこれまで実験的に証明することが難しいことから、その現象の多くが無視され、生物学的に意味のあるばらつきというより技術的なノイズとして扱われてきたが、同じ遺伝的背景の細胞集団のばらつきとして考え、理解することができる技術が近年発展しつつある。ごく近年になって、細胞集団における表現型の不均質性がさまざまな生理学プロセスや病態生理学的な状態や治療に対する反応において観測可能になり、疾患治療開発に課題を投じている。例えば、がん治療薬に対する反応は不均質であり、再生医療の分野では細胞の不均質性のため分化・培養に時間がかかり、効果のない細胞や毒性を示す細胞が含まれてしまうという問題がある。これら細胞の不均質性のメカニズムを解明し、不均質性そのものを調節することで効果の高い治療が可能になることや、患者の要望に合わせ素早く安全な細胞を供給できるようになることが期待できるため、神経細胞やグリア細胞分化における転写ばらつき変化とその制御を体系的に解析するフレームワーク構築についても紹介したい。