第102回創薬科学セミナー・GTRセミナー
本セミナーは、先端薬科学特論・単位認定セミナーとして認められています。
概要 | DNAインベントレコーディング生物学 |
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日時 | 2019年07月08日月曜日・15:30-17:00 |
場所 | 創薬科学研究館 2階 講義室(205) |
講師 | 谷内江 望 博士(東京大学 先端科学技術研究センター 合成生物学分野) |
連絡先 | 小坂田 文隆(6814) |
ファイル | 1560385468第102回創薬科学セミナー.pdf |
発生や悪性腫瘍の形成など、哺乳動物の生命システムは複雑な細胞への分化とそれらが協奏する集団の進展によって支えられている。しかしながら、現代生物学はこのような複雑なシステムのダイナミクスを限られた解像度でしか捉えることができない。近年の高速分子計測技術群は、細胞、組織や個体における分子状態のスナップショットを網羅的に捉えることを可能にしたが、これらの技術は対象とする試料を破壊してしまうために同一試料の分子ダイナミクスを大規模に計測することができない。このような課題を解決する一つの方向性は、進展する複雑な細胞集団から異なる時間毎に同じ細胞クローンを単離できるようなテクノロジーを開発し、単離した細胞クローンの高解像度分子状態を解析するというものである。もう一つは、細胞の内部あるいは環境状態を「遺伝可能なポリマー」に記録するようなデバイスを細胞に搭載し、細胞試料を破砕して解析する際にその試料の過去の時系列状態情報を読み出せるようなテクノロジーを開発するというものである。私達の研究チームではDNAバーコードという概念とゲノム編集技術を組み合わせてこれらの直交する方向性にむけてCloneSelect法とBarclock法という二つのテクノロジーを開発してきた。CloneSelect法は集団における任意の細胞クローンについてその分子ダイナミクスを網羅的に計測することを可能にし、Barclock法は哺乳動物の発生過程における細胞系譜を高解像度でトレーシングすることを可能にしつつある。