創薬科学研究科・加藤竜司准教授の細胞画像品質診断技術の製品化・事業化開始
株式会社イノテック(代表取締役社長:伊藤賢治(いとう・けんじ)、広島県広島市)は、名古屋大学大学院創薬科研究科の加藤竜司(かとう・りゅうじ)准教授らの研究グループとの共同開発により、再生医療用細胞の非破壊品質管理を実現するクラウド型細胞品質管理システム「AiCELLEX(アイセレックス)」の製品化を開始しました。同時に、「AiCELLEX」の基盤技術を用いて、島根大学医学部生命科学講座の松崎有未(まつざき・ゆみ)教授が取締役を務める島根大学発ベンチャーPuREC株式会社(代表取締役社長:小林祥泰(こばやし・しょうたい)、島根県出雲市)との事業提携を行い、細胞培養における品質管理支援サービスを開始しました。
細胞培養は、私たちの体の中にある細胞を、体外で人為的に生かして増やす技術です。細胞培養技術の進歩に伴い、細胞を使った新しい医療である再生医療の研究や、創薬開発における医薬品の効果や安全性の研究が大きく発展しつつあります。
しかし、培養中の細胞の品質を生きたまま評価する有効なテクノロジーは無く、これまで細胞の品質管理は人間の経験と感覚に基づく顕微鏡観察のスキルに頼っていました。特に、再生医療では、安全かつ治療効果の高い品質の細胞を安定供給することや、治療費や生産コストをいかに経済的にできるかが、実用化の重要な課題となっていました。
一方で近年、画像処理や画像診断のためのテクノロジーは、人工知能(Artificial Intelligence:以下AI)関連技術との融合によって革新的に進みつつあります。このような最新の画像診断テクノロジーは、再生医療や創薬開発に用いられる細胞の製造を行う施設おいて「細胞を壊さない」経済的な技術として、品質管理のコストや安定性を飛躍的に向上させる可能性が期待されて来ていました。 株式会社イノテックは、画像処理ソフトや測定支援システムの開発・販売を中心とした企業として、2015年から医療用診断支援画像処理ソフトウェアKOACAD(変形性ひざ関節症診断支援ソフト:医療機器認証番号:227AGBZX00063000 )の開発を通じ、ライフサイエンス分野への進出を進め来ています。
今回、株式会社イノテックは、名古屋大学・加藤准教授らの研究グループとの共同開発によって、イノテックの画像処理とクラウド型ソフトウェア技術と、加藤准教授の細胞形態情報を用いた品質診断技術を融合させ、画像のみから細胞品質を記録・予測するクラウド型細胞品質管理システム「AiCELLEX」の製品化を開始しました。これまで高度な知識と経験が必要だった人間の細胞観察を、画像処理とAI関連技術によるクラウド型ビッグデータ解析システムとして置き換えようというものです。
また同時に、「AiCELLEX」の基盤技術を用いたサービス事業として、間葉系幹細胞から超高純度ヒト間葉系幹細胞(Rapidly Expanding Cells:REC)を取得・販売する島根大学・松崎教授らの研究グループと、松崎教授が取締役を務める島根大学発ベンチャーPuREC株式会社との事業提携を行い、実際の細胞製造現場における細胞品質管理をサポート・効率化する支援サービスの提供を開始しました。
名古屋大学HP: プレスリリース