第98回創薬科学セミナー・GTRセミナー
概要 | 視覚運動検出の神経回路メカニズム -細胞極性、時空間ダイナミクス、眼球運動疾患- |
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日時 | 2019年03月26日火曜日・15時30分-17時 |
場所 | 創薬科学研究館 2階 講義室(205) |
講師 | 米原 圭祐 博士(Danish Research Institute of Translational Neuroscience(DANDRITE、デンマーク)) |
連絡先 | 小坂田 文隆(6814) |
ファイル | 1552968328第98回創薬科学GTRセミナー.pdf |
視覚運動の方向や速度の検出は視覚系の重要な機能の一つであり、動物の生存にとって重要である。特定の方向の視覚運動に選択的に応答する神経細胞を方向選択性細胞と呼び、マウスやウサギを用いた研究から大脳視覚皮質のみならず網膜にも方向選択性細胞が存在することが知られている。我々はマウス視覚系の方向選択性神経回路をモデルとして用いることにより、1) シナプス入力の時空間ダイナミクスがどのようにして感覚情報の抽出を可能にするのか、2) 方向選択性回路の基盤となる空間非対称的な神経結合がどのような分子機構により発達期に形成されるのか、3)網膜の方向選択性異常がどのようにして先天性眼振という眼球運動疾患を引き起こすのか、4)網膜で処理された視覚情報が下流の視覚中枢においてどのように処理されるのか、などを明らかにしようとしている。これらの研究を行うために、2光子イメージング、電気生理、ウイルスベクターによる神経回路標識、分子生物学、細胞生物学、マウス遺伝学、行動解析などの手法を組み合わせている。本セミナーでは、我々の最新のデータを紹介するとともに、将来の展望を議論する。また、デンマークで研究室を主宰するに至った経緯やヨーロッパの研究環境などの話題も提供する。