研究プロジェクト
◎研究方針
複雑な構造の化合物、特に天然有機化合物の合成に取り組むことを通して、「画期的な新反応」の開発や「独創的な合成デザイン」による効率的合成法の確立を行い、人類の役に立つ有機化合物を必要なだけ供給できる「力強い合成」を実現することを目標としています。
◎研究テーマ
①天然物の全合成研究:現代有機合成化学にはあらゆる化合物を自由自在に大量合成する力量はまだありません。そこで我々は、複雑な構造を有する天然物の合成研究を通して、有機合成化学をより高い次元へと引き上げたいと考えています。複雑な構造の新規構築法の開発は、直接的に有用化合物の創製につながります。また一見簡単に見える官能基変換においても、多官能基を有する化合物ではその遂行が困難な場合があり、その原因を追求し克服することで、既存の反応が磨かれ、より汎用性の高い反応とすることができます。さらに複雑な構造を扱うことで、予想を越えた新たな反応性や性質の発見につながることが期待できます。
*これまでに全合成を達成した化合物はこちら。
②新しい合成方法論の開発:ニトロベンゼンスルホニル基を用いたアミンの合成法やインドール合成法など汎用性の高い方法論を開発し、天然物合成に展開してきました。
③創薬を指向した機能性化合物の設計と合成:天然物を使用した光アフィニティープローブやアフィニティー樹脂の設計、合成を行い、共同研究者とともに創薬ターゲットとなるタンパク質の機能・構造解析を目的として研究を行っています。また、確立された天然物の合成経路を利用して類縁体を合成し、構造活性相関研究への展開も行なっています。