創薬科学研究科・理学研究科・環境医学研究所 共催
第25回創薬科学セミナーを開催します。
概要 | アルツハイマー病予防のための治療・診断法開発のブレイクスルー |
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日時 | 2014年06月27日金曜日 15:00~16:30 |
場所 | 環境医学研究所 北館2F セミナー室 |
講師 | 斉藤貴志 先生(理化学研究所 脳科学総合研究センター 神経タンパク質制御研究チーム/副チームリーダー) |
連絡先 | 環境医学研究所 病態神経科学分野 山中宏二(3867) |
疾患研究におけるモデル動物の重要性は、周知の事実であり、実験結果の正確性はモデル動物の完成
度に依存している。これまで、アルツハイマー病(AD)研究でのモデルマウスの主流は、APP トランスジェニ
ックマウス(APP-Tg)であった。しかし、APP の過剰発現による様々な非生理的な作用への懸念が高まり、
APP-Tg をベースとしたモデルマウスの使用の妥当性に疑問が生じている。
我々は、APP 単一遺伝子に家族性 AD 変異をノックイン手法により導入した 2 系統のマウスの開発に成
功した(APP-KIマウス)。両系統とも、APP-Tgが内包していた問題点を解決し、さらにAPP-Tgマウスより早
期からアミロイド病理を形成した。このアミロイド病理は、AD 患者のそれと類似しており、神経炎症、シナプ
スの脱落、記憶学習能の障害も伴っていた。APP KI マウスは、これまで迫れなかった AD 病理形成の分子
機構を明らかにできる可能性があり、ADの予防、治療、早期診断法の開発に資する非常に有用なリソース
であり、日本発の新規世界基準となる AD モデルマウスになると期待される。
Reference: Saito et al. Nature Neuroscience 17: 661-3, (2014).
対象:教員・大学院生
度に依存している。これまで、アルツハイマー病(AD)研究でのモデルマウスの主流は、APP トランスジェニ
ックマウス(APP-Tg)であった。しかし、APP の過剰発現による様々な非生理的な作用への懸念が高まり、
APP-Tg をベースとしたモデルマウスの使用の妥当性に疑問が生じている。
我々は、APP 単一遺伝子に家族性 AD 変異をノックイン手法により導入した 2 系統のマウスの開発に成
功した(APP-KIマウス)。両系統とも、APP-Tgが内包していた問題点を解決し、さらにAPP-Tgマウスより早
期からアミロイド病理を形成した。このアミロイド病理は、AD 患者のそれと類似しており、神経炎症、シナプ
スの脱落、記憶学習能の障害も伴っていた。APP KI マウスは、これまで迫れなかった AD 病理形成の分子
機構を明らかにできる可能性があり、ADの予防、治療、早期診断法の開発に資する非常に有用なリソース
であり、日本発の新規世界基準となる AD モデルマウスになると期待される。
Reference: Saito et al. Nature Neuroscience 17: 661-3, (2014).
対象:教員・大学院生