メッセージ

Laboratory of Cell and Molecular Bioengineering
(細胞分子情報学分野)を
訪れて下さりありがとうございます。

目次

HPを訪れてくださったみなさんへ
受験生のみなさんへ
高校生のみなさんへ



HPを訪れてくださったみなさんへ

近年のライフテクノロジーの発展は、すばらしいものです。
10年前には思いもつかなかったScience Fictionのような現実が到来しつつあります。
特に、医療を支える技術の進歩は、とてつもないスピードで発展しています。
これまで治せなかった病気を治すための薬剤や治療方法が、どんどん作られつつあります。
科学の一端に携わる者として、ライフテクノロジーの発展に
少しでも寄与できるとしたら、どんなにすばらしいことでしょう。

ただし一方で、どんなに貢献したくても、
僕たち一人一人にできることは限られています。
たくさんの研究者の人たちが、
それぞれに全身全霊で時間と能力を注ぎ込んで形作られる一つ一つの科学が、
集まり、紡がれ、形となって社会に生み出されていくには、少し時間がかかります。

僕は、大学の研究室であること、そして、工学的な研究室であることを活かし、
多くの珠玉のサイエンスをつなぎ合わせることに尽力し、
一分一秒でも早く、科学が社会に貢献するスピードの加速に貢献できないか、
という思いを持っています。

特に、装置や機器などの「ものづくり」は、
サイエンスを目に見える形にし、
産業を作り上げるコアになることによって、
より効率的に、より多くの人たちへとその効果の実感を
広めることができる魅力と可能性があるのではないかと考えています。

このため、僕たちのラボでは、
工学的な視点から創薬や再生医療などの先端科学を学ぶと共に、
これをいかに実現化できるかを一生懸命考え、
企業にご協力を仰ぎながら、
実用化テクノロジーのサイエンスを追求し、
科学と科学をつなぐことで新しい価値を社会に送り出すことができないか
ということにトライしています。

より多くの人と関わり合いながら、
ラボで最先端の研究を支える多くの「夢を持った同志」と共に、
ライフサイエンスの実用化に少しでも貢献する技術開発を行えるよう、
今後とも挑戦を続けていきたいと思います。

加藤 竜司



受験生のみなさんへ

興味をもってHPを見てくださってありがとうございます。

我々の研究室は
・学部生(=4年生) 名古屋大学化学生命工学科からの配属(通常2~3名)
・博士課程・前期課程(=修士) 8月試験(学内・学外を問いません。通常2~3名)
・博士課程・後期課程(=博士) 8月・2月試験(学内・学外・企業人を問いません)
の方々を受け入れております。詳しくは入試情報を是非ご参照ください。

もちろん、研究を早くから経験されたい高校生・学部生の方も大歓迎です!

医療や創薬の分野で、「技術開発」「応用研究」に携わりたい方は、是非一度ご相談ください。

ただし、創薬科学研究科の大学院を受験する際には、受入教員との事前の話し合いがとても重要です(特に後期課程)!
是非ご訪問をご検討の上、お問い合わせください。また、大学院入学試験説明会も是非ご活用ください。

現在、我々の研究室では大きくは3つの分野におけるテーマを研究しています。

1)   再生医療
2)創薬スクリーニング
3)医療機器開発

どの研究テーマにおいても、僕たちは実験と解析の両方を行うことを大切にしています。
実験では、細胞培養、遺伝子解析、分子合成などを行います。
解析では、コンピュータを用いた情報解析(バイオインフォマティクス・画像解析・統計解析など)を行います。
この両方の技術を身につけながら一人の人が研究することで、
どちらかの研究技術だけではできなかったような
「融合的な発想に基づく」新しい実用化技術が生まれると考えているからです。

また、現在僕達は次の5つのキーワードを核として、「研究プロジェクト:PJ」と呼んで研究グループのコアを作っています。

0) SYSTEMIZATION:システム化・製品化プロジェクト
1) DRUG SCREENING:創薬スクリーニングプロジェクト
2) MANUFACTURING:細胞製造プロジェクト
3) MEDICAL DEVICE:医療機器プロジェクト
4) STANDARDIZATION:細胞培養標準化プロジェクト

各プロジェクトは、研究リーダーを決め、研究テーマの設定から各種技術の深い議論を行います。
どのプロジェクトの研究も、「細胞」「分子」「情報」のいずれかを繋ぎ合わせる研究ですが、
最新の創薬研究の動向に合わせて「秘められた現場のニーズ」を解決するためのテクノロジー開発研究を進めています。

我々の研究室の研究には、2つの特徴があります。

一つは、工学的で応用的な「実用化研究を行う」というものです。

僕たちは、工学的な研究者集団であることを大事にしています。
このため、乱暴な言い方ですが、
原理はわからなくとも結果的にどういうことが達成できるかを追求する
「実学的な研究スタイル」に徹しています。
ですので、「ものづくり」「製品の基礎技術開発」というコンセプトが好きな方には
向いているかもしれませんが、
「生命現象の解明」「ゼロからの独創的な発見」「化学合成の追求」が好きな方には、
物足りなく感じてしまうかもしれません。
実学的な研究は、
いかに現象をまず制御できるか、という技術開発から入って、
序々に「なぜそうなのだろう」という
基礎解明へと向かって研究が進みます。
たとえばそれは、
「なぜ効くかはわからないけど、カビが生産する分子に抗生物質の効果がある」
という結果的発見からスタートして、
なぜ・どうして効くかを後からどんどん解明する、
というような研究に似ています。

これは、生体の神秘を解き明かすのには、
とても遠回りをしている方針と言えるかもしれません。
また、もっと原理的に卓越した工学的な技術や分子が登場すると、
あっという間に古いものになってしまう、
という欠点があります。
しかし、実学的な研究には、
より早く自分の開発した方法や分子が実際に使われたり、
製品になるかもしれない、
という可能性や魅力があります。

もう一つの特徴は、
様々な分野とコラボレーションを通じながら「融合的な研究を行う」というものです。

現在僕たちは、
数多くの大学、企業、研究所など複数の分野の専門家の方々との
コラボレーションを進めています。
これは、いまのライフサイエンスの研究には
非常に多くの研究分野の融合と技術力の結集が重要であり、
たくさんの専門家の方々と仕事をすることで、
より大きな社会貢献ができると考えているためです。

また同時に、
科学という共通言語のもとで、
共通の目標に向かってみんなで共同開発をする
ということは、
開発の喜びや楽しさも倍増するからです。

このため、僕たちのラボでは、
講義で学んだことが無い異分野のことや、
自分が苦手だと思うような分野の内容まで幅広く学び、
多くの専門家の方と「話せる」ための
土台を作ることに努力しています。
もともと生物が好きだとしても、
プログラミングや統計をマスターしなくてはなりません。
また、どんなに計算や処理が得意でも、
細胞実験や医療のことを知らなくてはいけません。
どんなに生命現象の美しさに惹かれても、
生産コストと販売規模を直視しなくてはなりません。

このように
たくさんの考え方に対応しようとすることは、
大変なときもありますが、
多くの場合には「新しい出会い」が増える、
楽しい努力であると信じています。

この研究ポリシーを僕たちは
「アウトプット型多分野融合創薬研究」と呼び、
創薬分野に貢献し、少しでも早く患者様のための技術を社会に送り出すことを
目指して研究に取り組んでいます。

僕たちの研究分野、
そして、研究室の特徴に共感し、
創薬研究に夢と熱意を持って取り組んでみようと思われる方を、
研究室ではいつでも大歓迎しています。

最初は、誰でも初心者です。
それに恐れず新しいことにトライしてみたい
という熱意のあるみなさんをお待ちしています。

加藤竜司



高校生のみなさんへ

高校生のみなさん。
興味をもってHPを見てくださってありがとうございます。

みなさんは、どうやって自分の進学先の学部を決めていますか?

小さなときからの夢に合う学部名を探して、決めるのでしょうか?
一番難しそうなところ、や、入りやすそうなところ、を探すのでしょうか?
インターネットでキーワード検索して、探すのでしょうか?

どれも正解だと思います。

自分が聞いたこと。
自分で調べたこと。
そして、自分で決めたこと。

これが自分の中でゆっくりと練り合わさって
「ここに行きたいんだ」「こっちでがんばってみよう」
という気持ちを作っていくんだと思います。

でも、もう一つおすすめの方法があります。
それは、メールを一通出して、見に行ってみる、という方法です。

思い出してみてください。
高校入学前、高校のどの部活にどんな先輩がいるか、ってよくわかっていたでしょうか?
高校入学前、入りたい高校のどの先生が怖いか、って知っていたでしょうか?
まあ、知らなくても、結局選べるわけではありませんので、
この場合には、いかに肝を据えるか、ということが重要になってくるわけです。

でも、大学はちょっとここが違うのです。
自分の好きな先生の授業がとれます。
自分の好きな先輩たちががんばっている研究室を選べます。
つまり、「情報を集めておくと、自分の好きなことに近づけるのでオトク」なのです。

インターネットは便利ですが、
実は、検索してよいページを見つけ出すのは、
よい検索ワードを知らないと、とても難しいものです。

そもそも自分の知っているキーワードって、
本当に将来も役立つキーワードでしょうか?
僕は高校生のとき、本当に大事なキーワードはさっぱり知りませんでした。
また、知っているものは、わずかに新聞で見たり、
誰かの話の又聞きで知っているものでした。
ですから、そのキーワードが大学や大学院では、
「全然違う価値をもってるんだ・・・」
ということに、かなり後になって気付きました。

つまり、高校在籍中に、
急に専門性が高くなって各方面へと分かれていく大学のことを知るのは、
至難のわざではないかと思います。
特に、理系のHPは、専門用語がたくさん出てきますので、特に大変です。

ですから、百聞は一見にしかず、です。

一人が心細ければ、是非友達を誘って、
大学の人に、コンタクトしてみることをおすすめします。

大学にいる先輩たちも、どんな先生たちも、
みんな最初は高校生でしたので、
みなさんの悩みは、とてもよくわかるのです。
ですから、必ず答えてくれます。

たとえば、僕たちがいまいる研究科は「創薬科学研究科」です。
創薬科学とは、薬を作る、という研究だけではありません。
薬をどうやって調べるのか、
どうやって探すのか、
どうやって設計するのか、など
薬を取り巻く科学は、
薬学にも、理学にも、工学にも、農学にも、医学にも、
どの領域にも存在しているのです。

こういう話は、検索してもなかなか出てきませんが、
聞きにいったら、10分でわかることばかりです。

みなさんが、よりよい進路を選べるよう、
何か質問があれば、ぜひコンタクトに挑戦してみてください。
ちょっとした勇気で、かなり世の中は違って見えてきます。

そして、もしも僕たちの研究科に興味を持ってくれたのなら、
将来ぜひみなさんが、研究科や研究室に参加してくれることを待っています。

いや、将来と言わず、いつでも体験しに来てみてください!
将来どんなことができるのか、何かヒントになるかもしれませんし、
どんなに若くても、やったことがなくても、一回の体験はとても大きいものですよ。

 

加藤竜司